最近は暇さえあれば本屋に行きたくて、
気付けば本屋であっという間に1時間なんてすぐに過ぎてしまう。
本屋の一番上の目立つ場所にあるひな壇に、今回目についたのが、
「世界でいちばん透きとおった物語」
というタイトルの本だった。
杉井光さんという方が書かれた本なのだが、著者の方を私は存じ上げておらず、
今回は完全に帯買いをしてしまったのだ。
本についている帯に、「電子書籍では不可能。紙の本でしか楽しめない仕掛けがある」という謳い文句を見つけ、買わずにはいられなかった。
読んでみると、タイトルに反してミステリーな雰囲気も漂う作品で、一気に読めてしまえる作品だった。
きれいなタイトルなだけに、私が思った方向の話とは全く違った。
ある意味、裏切られた。
この本における最大のネタバレはあえて伏せておくが、
私がこの本に共感を覚えたのは、この作品の中に私の大好きな作家である京極夏彦氏について触れている場面がある。
それがまず一つ。
そして、最大の共感だったのは、
この主人公の境遇が自分と似ている、という点だった。
主人公は親が亡くなり、自分一人で生きていかなくてはならない状況に、
ぽっかり穴が開いたような気持ちを抱えながらも、
ある程度お金が稼げる程度の大人になっていることに安堵する場面があるのだが、
私もその場面を体験したことがあるばっかりに共感せずにはいられなかった。
私も23歳で両親が亡くなったので、
大学出たばかりで新入社員として働き詰めの自分にそのように思ったのだ。
なんだか、あの頃の懐かしい気持ちをたくさん思い出させてくれた。
たまには帯買いするのもいいもんだなと、満足した作品だった。